この前まで開催されていた第九代雇用局局長選挙の争点のひとつが、ブログだった。
三温党党首ランプちゃんの掲げた公約は、ブログニウム不足からの局員の解放だった。
実際、最近のブログ不足により局員たちにブログニウム依存症の症状が出始めていた。
いつもかわいいでそはブログにでている自分がかわいく書かれていないという妄想にとりつかれてしまい、
あまにゅんはブログを待ちすぎて首が戻らないくらいにのび、
たべいちはブログ以外の言葉を発せなくなってしまった。
ひろこは雇用局のブログニウム依存症患者が存在する現状を認識し、深く後悔した。
ただ、みんなと仲良くしたかっただけなのに、みんなをこんな状態にしてしまったという罪悪感がひろこを襲った。
ブログニウム依存症を治すためにの手段はひとつしかない。
それまでのブログ摂取に関係していた状況(人間関係、場所、お金、感情、ストレスなど)を整理・清算し、ブログを摂取しない生活を維持することだ。
ひろこはみんなを依存症から救うために、本当はみんなのためにブログを書いてあげたい気持ちを殺して書くのをこらえることにした。
たしかにブログを書くことは可能だ。
それでもみんなにはブログのない健康的な生活を送ってほしかった。
もうブログは書かない、そうひろこは心に決めた。
そうみんなに伝えたとき、ひろこの愛を疑ったかわいいでそが自分の冒険者カードを見せてこう言った。
冒険者カードをみてみると
ヘッダーにかわいいでそとひろこで一緒に撮った写真が載っていた。
一緒に写真を撮ったのが”いつ”だったか、というわかるわけのない意地悪な問いにひろこはつい笑ってしまった。
※「こっわww」と言っている。
ブログを書かない理由は、みんなに対する愛があるからだということを証明できたところで、かわいいでそからのチャットが途絶えてしまった。
あまにゅんがかわいいでその顔にむけてクラッカーを破裂させたが、それでも反応はなかった。
どうやらかわいいでそはひろこから愛されていることに安心して完全に寝落ちしてしまったようだった。
この無防備な寝落ちをしてしまうでそは、やっぱりかわいかった。
こうして、かわいいでそが眠ってからみんなでかわいがるのが局員たちの日常なのであった。
局長選挙
三温党が当選して、ブログニウム依存症をこれ以上蔓延させないためにもひろこ自ら雇用局局長選挙に出馬した。
正直三温党のランプちゃんが当選しなければなんでもよかったが、ついでにいままでパラワンオオヒロコだの、ツッコミだのよけろナッポォ!だのひろこの名前を好き勝手に変えてきた雇用局への復讐でもあった。
そしてこれは自分のためだけではない。
新たに加入した局員のためでもあった。
その名前が、彼の過去を物語っていた。
きっと彼もまた自分の名前変更権をかけたイベントを開催してきた猛者なのだろう。
ひろこはこれ以上名前を変えられてしまう被害者をださないためにも、同じ境遇の絶望と反魂と滅殺の決断に向けた演説をした。
一呼吸おいて、強調するように力を込めて口を開いた。
ここで、絶望と反魂と滅殺の決断が目を覆っているのがみえた。
ずっと自分の名前をボケるための道具とされて辛かったのだろう。
こんなセンシティブなことは、誰にも相談できなかったであろうこともひろこにはよくわかっていた。
だから一緒に戦おう、そう彼に目で合図を送った。
ひろこの支持者がまたひとり増えた瞬間だった。
選挙終結!
その後他政党からの刺客を送られ、各地でひろこのネガキャンが行われることもあった。
ときにはたすくに知られざる過去を暴露されたり
またあるときには、あかねが新人を洗脳していることもあった。
均衡していたはずの投票では、選挙管理委員会が外国人参政権を認めたことで展開が変わった。
はてなのX軍団とひろこのパラワン島勢の組織票により荒れ狂った投票結果は、はてなの勝利に終わった。
こうして、第九代目局長はてなが誕生。
選挙には負けたものの、三温党ランプちゃんの当選を阻止することに成功したひろはブログニウム依存症の拡大を防ぐこととなったため満足した。
・・・はずだった。
なぜか選挙が終わっても三温党の過激派残存勢力が息を吹き返していた。
ここにきて茜音もブログ依存症であったことが明らかとなり、自身のツテで合同イベントを企画しようとしていた。
「こゃーん」は、茜音のメインキャラのるねまるが所属しているチームだ。
かつてるねまるは雇用局にも体験としてきていたが、2月中旬に体験期間満了となり脱退していた。
当時は「るねまる」のことを「るねち」と呼んでいたひろこは、千と千尋の神隠しパロのお別れ会を開催したものの、ブログにはなっていない。
そのるねまるがブログを更新させるために他チームであるこゃーん軍団を使ってまで、雇用局にイベントを申し込もうとしてきていた。
しかも、こゃーんにはひろことの因縁があるたびらこがいる。
本当は合同イベントでもたびらこと争いたくないのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
もし5年前のあの日、たびらこを当時のチームに勧誘したときにひろこがハゲていなかったらこんなことにはならなかったのかもしれない。
合同イベントの計画はひろこ抜きで行われ、もはや合同イベント企画時のひろこが会議に参加していないというボケすらさせてもらえなくなっていた。
気が付いたころには合同イベントの計画が出来上がり、こゃーん鯖でイベントの予定が大々的に宣伝されていた。
ひろこにブログを書かせるために合同イベントを企画するるねまるのブログニウム依存症は、素人目にみてもステージ5の末期症状だった。
この状態でブログを読ませてしまってはどうなってしまうのか、と考えるとひろこは恐ろしくてたまらなかった。
新局長が就任したばかりにも関わらず、雇用局情勢は不安定だった。
釣りイベ こゃーん編
こゃーんとの釣りイベント当日、釣りスポットに参加者が集まっていた。
みんなが集まった後、あまにゅんからイベントの説明が一通りなされた。(でかいの釣ったら優勝)
合同イベントの景品は当然のようにひろこの改名権だった。
今回の釣りイベでの完全勝利がひろこに課された使命だった。
名前変更権を自ら獲得し、名前を維持することでブログのネタを消滅させブログの更新を停止させる。
これが、ブログニウム依存症患者を救うための唯一の道だった。
ちなみに今回の釣りイベは普段と違って妨害がありのルールだった。
両チーム準備が整ったところであまにゅんがチャカをぶっ放した。
戦闘開始
雇用局側は先制攻撃として、冒険者カードとライクを連発する妨害を開始。
ひたすらにこゃーんのメンバーたちの冒険者カードを開き、いいねとカードを送り付ける。
なぜかたびらこにフレを切られそうになるひろこだったが、こゃーん連中の注意をカードの通知にひくことに成功した。
本気のひろこは頭の回転が桁違いに早いのだった。
続く第二の作戦として、仮面バライダーを召喚しメンバーたちの動揺を誘う。
しかし、同時に似かよった生体反応を補足。
考えることは互いに同じ、むなしくも変態作戦は変態と変態の叫び声がこだましただけで不発に終わった。
第三の作戦では、雇用局がこの日のためにスカウトした助っ人外国人ノカを起用。
ただただ邪魔すぎるこのデカブツで釣り妨害を行う。
ノカ壁の威力はすさまじく、効果は絶大だった。
しかしここにきてこゃーんも新たな作戦を展開する。
相手チームのメンバーを引き抜くことでそのメンバーの釣った魚の記録も自分のチームのものとして奪うことができる。
策士だが、この卑劣な作戦にひろこは黙っていられなかった。
チャットを貼るまでもなく、普通にこゃーん入りを拒否された。
しかし、ここまでの雇用局の作戦でこゃーん側のリソースを消耗させることに成功した。
こゃーんのキノの掛け声も時すでに遅し。
こゃーん側は戦意喪失、雇用局員はひろことノカ以外は黙々と釣りをしていた。
総力戦の末、妨害作戦において雇用局優勢で釣りの時間が終了した。
己の全力を尽くしたひろこは、ライバルたびらこのもとに駆け寄った。
ひたすら釣りをしていたたびらこは横になって空を見上げていた。
ひろこもたびらこの隣に寝転がって一緒に空を見上げる。
五年前のひろことたびらこの間にあった心の溝は、今回のイベントとこの綺麗な空が埋めてくれるようだった。
ひろこは優勝したときの自分の夢をたびらこに教えることにした。
戦いは、終結した。
命名
なんとかイベントに勝つことで穏便に改名しない選択をしたかったひろこだったが、負けてしまったためそんなことを言ってる場合ではなくなってしまった。
イベントの楽しい空気を壊して申し訳ないとは思いつつも、みんなに本当のことを告げる。
ブログニウム依存症のこと、もうブログを書かないこと、改名もしないこと。
全てが伝え終わったとき、場は沈黙していた。
シリアスな空気が漂う中、ひろこはまた寝転がって空のオリオン座を眺めた。
シリアスな空気が、破壊されたことで思い出したかのように改名の儀式が進行し始めた。
だが、このまま新しい名前が発表されようが、ひろこは絶対に改名する気はなかった。
※文字数オーバーした
しかし、なんて長い名前なのであろうか。
これでは非常に呼ぶときに苦労してしまう。
そう思ったひろこはみんなのために呼びやすい言い方を提案した。
るねまるが発狂し、すこし経ったあとにこう呟いた。
ブログニウム依存症に苦しむ様子をみて、みんな黙ってしまった。
血を吐くるねまるの背中をさすって、ひろこは口を開いた。
るねまるは無言で頷き、二人でるねまるの、そしてみんなのブログニウム依存症が治るように天に祈った。
するとそのとき、二人の前に何者かが現れた。
神だった。
ブログを書くことでみんなのブログニウム依存症が治る。
それくらいひろこにとって屁でもなかった。
だが、神から提示された条件はそれだけではなかった。
その場にいたみんなの前に衝撃が走った。
ひろこは本当はもっとたくさんブログを書いていたい気持ちがある。
でも、そんなものるねまるとみんなを救うためならばどうでもよかった。
あまにゅんの首も、たべいちの発言可能音域も、でそちゃんの自意識も全部元に戻るのだ。
神はその言葉を聞き終えると姿を消した。
みんな言葉を失っていたなかで、るねまるが口を開く。
ひろこはそのことに触れることなく、合同イベントの続きを始めるのだった。
ボロボロのるねまるに肩を貸してみんなのもとに向かい、SSを撮った。
こゃーんと雇用局のイベントは無事、幕を閉じた。
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